これだけ素晴らしいアートを世に送り出しているPICFAのメンバー。
佐賀県の基山町という田舎町で、なんて突き抜けたアート集団なんだ!!
とPICFAの話を聞いて最初は思っていました。
しかし、その時は大きな勘違いをしていることを、
僕は知る由もありませんでした・・・。
実はPICFAはアート集団ではなく、障がい福祉サービス事業所だったのです。
PICFAがあるところは、鹿毛病院の施設内です。
基山町民はほぼ知っているであろう病院で、僕も子どもの頃に何度も行きました。
また家族が人工透析をしている場所でもあったので、すごく馴染みのある場所。
しかも、2人で住んでいるマンションから見える距離にあります、近い(笑)
「こんな尖っているところが基山にあるなんて!」
この妻の一言。
僕はイケてるアート集団だからそう感じたのかな?
と思っていましたが、実はもっと深い理由でした。
妻は大学卒業後、社会福祉施設で仕事をしていた経験があります。
社会福祉施設の意義や運営する難しさを感じていたそうです。
だからこそ、PICFAを見て、
社会福祉団体として地域の人を巻き込むのは難しいのに、
こんなお洒落な形で実現しているってすごい!!
と感じたそうです。
そんな経験から裏打ちされて出てきた言葉。
「こんな尖っているところが基山にあるなんて!」
ではでは、本題のPICFAの実態に迫りたいと思います!!
目次
PICFAとは
医療法人清明会 障がい福祉サービス事業所「PICFA(ピクファ)」
Picture(絵画)+Welfare(福祉)からとった造語だそうです。
2017年7月に医療法人清明会 きやま鹿毛病院内に障がい福祉サービス事業所としてオープン。
施設形態は就労継続支援B型。
なんと!
医療法人の病院の中にある障害者就労支援事業所として日本初!
しかも、廊下一本で託児所と高齢者のトレーニング施設も繋がっています。(これも世界初かも?)
就労継続支援事業
仕事内容
- 絵画制作及び販売
- デザイン、イラスト提供
- 壁画、ライブペイント
- 各種ワークショップ提案と実施
- オリジナルグッズの販売
- 企業など承認コラボやブランディング等
作品は、利用者さんたちが一枚一枚、作っています。
絵を売ることが目的ではない
B型の利用者さんの収入は、時給ではなく出来高制の報酬形態。
だから、素晴らしいアートを制作・販売して利益を得るぞ!!
ということが、スタッフたちの目的ではありません。
あくまでも目的は利用者さんの自立支援と社会との繋がり。
その手段として”アート”を活用しているに過ぎません。
PICFAの目的:自立支援
A型は「人参の皮むき」などやる作業が決まっています(主に単純作業)
しかし、B型、そしてPICFAではすこし違います。
- 何をするかは自分で決める
- 作業する部屋も自分で決める
PICFAには時間割ボードのようなものがあります。
ここに自分は今日何をするか?どの部屋でするか?を決めます。
「自分で決断する」という行為は、自信を高めると感じています。
それの内容が大きいとか小さいとかに関係なく。
作業する部屋ですが、大きな文字とカラフルな色で分けられています。
「P」「I」「C」「F」「A」の5部屋(最近1つ追加されたようです)。
文字の認識が苦手な利用者さんもいるのでこうする事でストレスなく作業できます。
部屋同士は内通路でつながっています。
これは病院だったころの施設の名残です。
昔はこの内通路を看護師さんたちが走り回っていたのか・・・。
PICFAの目的:ルールの定着
「好きなように創作活動をして、時間になったから帰ります!」
というわけにはPICFAでは”いきません”。
筆などの使った道具はもちろん自分で洗います。
自分たちの使った部屋も掃除しますし、施設全体も掃除します。
自分勝手な振る舞いでは、自立して社会とつながり生きていけません。
最低限のルールを守る必要があります。
その定着を促進するために仕事・役割が決まっているそうです。
PICFAの目的:社会とのつながり
実はPICFA、コロナの前までは完全にオープンな施設でした。
誰でも出入り自由、遊んでオッケー、喋ってオッケー、くつろいでオッケー。
地域の方たちも遊びに来て、利用者さんたちと交流していたそうです。
もちろん、PICFAとコラボする事業者さんたちのミーティングの場としても利用されます。
そして、PICFAの奥には「託児所」がありました!
親御さんや子どもたちも、すれ違う廊下でつながるきっかけが生まれます。
作業部屋からも子どもたちの遊ぶ姿が見えるので、ここでも窓越しの交流が生まれます。
意外かもしれませんが、利用者さんは皆、基山駅から歩いてきます。
誰かに送迎してもらったりではなく、自分たちで施設に来ます。
これは自立支援+社会とのつながりを意図しているそうです。
もし基山駅〜サンエー前〜鹿毛病院の間で見かけたら、声をかけてみてください♪
PICFAの”その先”
福祉事業は採算が取れず事業として難しいそうです。
確かに福祉施設で作られているパンなどは価格も安かったり、
”福祉施設で作った”ということ以外に付加価値が付けづらかったり。
だからこそ、病院内で福祉事業をやるところはなく、PICFAが初となったようです。
施設長の原田さんは利用者さんの自立支援や社会とのつながりはもちろん、
不採算事業から脱却して、社会地域の地域資産化を目指すことを目標にしているそうです。
人との交流や循環はもちろん、経済の循環も一緒に回して好循環を創り出す!
そんなビジョンがあるのは、お兄さんが知的しょうがいだった影響が大きいと感じました。
考察:なぜ注目が集まるのか
なぜPICFAがこんなに注目を集めるのか?
自分なりに考察すると2つほど見えてきました。
- 既存の枠に押し込む代わりに、型破り、いや型なし!!
- スタッフたちのプロフェッショナルなサポート
型破りな創作活動
実はほとんどの利用者さんは、PICFAに来て絵を覚えます。
覚えるというか、自分で好きな方に創造するそうです!
スタッフたちも絵の書き方や指導は一切しません。
中途半端に型にはめ込もうとするくらいなら、いっそ突き抜ける!!
樋口くんはいきなり紙をビリビリに破いて、その上から描くそうです。
そんなユニークさが人を惹きつけるアートになっている気がしました。
プロフェッショナルなサポート
施設に来ると利用者さんたちは、日報のようなものを自分で書きます。
出勤時にうがい・手洗いをしたか?昼食時に手洗いをしたか?丸をつけます。
僕らからするとただのチェックに見えるんですが違いました。
このチェックリストで利用者さんのコンディションを観ているそうです。
普段、丸を付けている利用者さんが急に付けていないと何か異変があったり。
手洗い・うがいの習慣化以外にもそんな意味があったとは・・・。
同じように日報?日記?のようなものも書きます。
スタッフ・利用者・親御さんの連携をはかり、利用者さんの状態を把握するためだそうです。
知的しょうがい、精神しょうがいの利用者さんもいるので細かいケアは欠かせない。
最後には終礼もあり、ここでも利用者さんのコンディションをチェック。
利用者さんが使う画材なんですが、世界で通じるレベルのものを揃えているそうです。
本田さんはフランスで出展の依頼がきましたが、それに恥じない画材で勝負できます。
今後も世界から出展・販売の依頼が来ても大丈夫!!
その分、PICFAとしての経費は高くなるのですが・・・背に腹は変えられない。
コンタクト
医療法人清明会 障がい福祉サービス事業所「PICFA(ピクファ)」
Picture(絵画)+Welfare(福祉)というお洒落な施設。
気になるかたは思い切って足を運んでみてください♪
アクセス
〒841-0204 佐賀県三養基郡基山町大字宮浦399−1
営業時間・定休日
- 営業時間: 9:00~18:00(平日)
- 定休日:きやま鹿毛医院に準じる
お問い合わせ先
TEL: 0942-92-2650
次回、最終回
全3回でお送りするPICFAシリーズ。
1回目はPicture(絵画)の側面から紹介。
2回目はWelfare(福祉)の側面から紹介。
3回目はPICFA3周年の集大成をご紹介します!
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